円(xy平面に中心を原点において、半径が1の円、「単位円」とよびます。)を用いてサイン、コサイン、タンジェントを決める考え方を前の記事で紹介しました。このページでは、その考え方をもとにそれぞれの方程式を満たす角度を答える基本問題の解き方を紹介します。もしよろしければ、問題とその解き方を読んでいただいて(必ずしもとく必要はないです。)そのあと、お手持ちの教科書や問題集にある似た問題を解いてみてください。
【注】イコール付き不等号≦のイコールの横棒が1本きえているところは恐れ入りますが書き足してください。
問題1
$$ 0^{\circ} \leq \theta \leq 180^{\circ}において$$
$$ \sin \theta = \frac{\sqrt{3}}{2} を解いてください$$
※記述式答案の書き方は、教科書などの答案例を参考にしてください。このページでは正解を導き出すまでの考え方、解いている時に考えていることなどがお伝えできればいいなと思いつつ書いてみます。
【問題1の考え方】
直角三角形を使ったサインの考え方を用いて60°と答えることは不十分、正しく答えていないことになります。直角三角形では0度より大きく90度より小さいサインしか表せないからです。
したがいまして、円を使ったサインの考え方を使います。
$$ \sin \theta = \frac{\sqrt{3}}{2} $$
という問題にある方程式は、頭の中で
$$\theta 回転したあとの点Pのy座標が=\frac{\sqrt{3}}{2}なのだ$$
と読み替えることができます。それで、単位円上にy座標が
$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$となる点を取ってしまいます。
左右に2箇所、点Pがいる場所があることが分かります。この2箇所には、点Pがスタート位置の(1,0)から何度回転したかを答えれば良いのです。
この角度が図からすぐに判断できないとき、点Pがいるところからx軸に垂線を下ろすと手がかりになります。
2つ現れた直角三角形は、斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいですので
合同な直角三角形ですね。
下ろした垂線の長さは$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$,半径1ですから斜辺も1この長さの辺をもつ直角三角形は30°、60度の三角定規の形の直角三角形です。したがって、ここが60°と決まります。
これより点Pはスタート位置から60°と120°の二箇所回転すればよいことが分かり、求めるθは
$$ \theta =60^{\circ},120^{\circ}\dots \dots (答)$$となります。
問題2
$$ 0^{\circ} \leq \alpha \leq 360^{\circ}において、$$
$$ \cos \alpha =0となる\alphaを答えてください。$$
(高校1年の三角比では180度までの角度しか聞かれませんが、考え方は同じですので出題してみました。)
問題2では、コサインが聞かれていますので、与えられた(問題に書かれてある)方程式は、
$$ \alpha 回転したあとの点Pのx座標が=0です.$$
と読み替えます。
すると、単位円上のx座標が0となる点をとってしまうと、y軸上の2点が取れます。
しがたって、回転してここに点Pがこれば良いのですから、ここは90°と270°とそれぞれ回転すればよいと判断できます。求める答えは、
$$ \alpha =90^{\circ},270^{\circ}となります。$$
問題3
$$ \tan \beta =\frac{1}{\sqrt{3}}となる\betaを0^{\circ} \leq \beta \leq 360^{\circ}の範囲の中で答えてください。$$
タンジェントの方程式です。タンジェントは、直線x=1上の点Tのy座標がタンジェントでしたから、方程式は頭の中では、
$$ 点Pが\beta 回転したあとの、直線OPと直線x=1との交点Tのy座標=\frac{1}{\sqrt{3}}だ。$$
と読み替えます。
この考え方をもとに、直線x=1上にy座標が$$\frac{1}{\sqrt{3}}$$となる点Tをとってしまいます。
点Tと原点Oを結び、必要あれば延長させて直線OTと単位円との交点を見つけます。右上と、右下あたりに交点が取れました。この2点のところまで点Pは回転していれば良いので、何度回転したかを答えれば良いです。
手がかりは、線分OTとx軸と直線x=1で囲まれた図の直角三角形で、またまた三角定規の直角三角形(30度と60度のほうの直角三角形)が現れてます。
ここから、次々と角度が決まり、求めるβは
$$ \beta =30^{\circ},210^{\circ}\dots \dots (答)$$
(右側の角度が30度とわかったので、直線OTが一直線ですから、30度に180度足して210度
と決まります。)
(補足 三角定規の辺の比を使って座標を求めるとき、30度と60度の長細い方の三角定規ばかり登場しましたが、もうひとつの直角二等辺三角形の辺の比を使うことももちろんあります。(45の倍数を答えるとき。)問題が偏ってしまいました。)
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