高校2年で学ぶサイン・コサイン(sin,cos)の加法定理を紹介します。使い方の例を挙げますので、最初は見ながらで構いませんので使っていって覚えてください。
まずは式の紹介
サイン・コサインの加法定理とは次の4つの式(等式)です。
$$\sin(x+y)=\sin x \cos y +\cos x \sin y \dots [1]$$
$$\sin (x-y)=\sin x \cos y -\cos x \sin y \dots [2]$$
$$ \cos (x+y)=\cos x \cos y -\sin x \sin y \dots [3]$$
$$ \cos (x-y)=\cos x \cos y+\sin x \sin y \dots [4]$$
たとえば[1]の式を見ていただきますと左辺のsin(x+y)のx+yの部分が足し算(加法)になっていまして、xに45°、yに30度を代入しますと、45°+30°となりますから75°、つまりsin75°が求められます。(右辺の式にもxに45°、yに30°と代入します。)
例 実際にsin75°を求めてみる。
[1]の等式を使って、実際にsin75°を求めてみます。
[1]の式の両辺にx=45°、y=30°と代入しますと、
$$\sin (45^{\circ}+30^{\circ})=\sin 45^{\circ} \cos 30^{\circ} +\cos 45^{\circ} \sin 30^{\circ}\dots [*] $$
左辺を見ていただくと、かっこの中はそのまま足し算できて75°になります。右辺を見ていただきますと、45°と30°のサインとコサインですから数値が答えられるものばかりですので、値にかえていきます。(それぞれの値の求め方は前の記事をよろしければご覧下さい。)
$$ \sin 75^{\circ} = \frac{1}{\sqrt{2}} \times \frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{1}{\sqrt{2}}\times \frac{1}{2}$$
ここまできますと、もう右辺は数だけになりましたので計算するだけとなります。分数どうしかけ算をして、有理化しますと(先に有理化でも構いません。)
$$ \sin 75^{\circ} = \frac{\sqrt{3}}{2\sqrt{2}}+\frac{1}{2\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{6}}{4}+\frac{\sqrt{2}}{4}=\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}$$
となり、sin75°の値を求めることができました。
ほかの使い方の例
使うときはいろいろありますが、たとえば
15°のサイン・コサインを求めたいときは
[2][4]の式にx=45°、y=30°とあてはめて(代入して)いただければ
x-y=45°ー30°=15°となりますから、計算することによって
求めることができます。
105°(=60°+45°)のサイン、コサインなども求めることができますね。
使える条件
45°や30°、60°といったサイン、コサインがすでに答えられるものたちが右辺に登場しないと、右辺の計算ができないことになります。
等式ですので
基本的な使い方の例をあげましたが、加法定理は等式ですので
右辺から左辺の変形もして良いことになります。
右辺のサイン・コサインの掛け算の和が登場したら、左辺のひとつのサインやコサインにまとめることができます。少し応用レベルですのでここでは具体的には取り扱いませんが、ご存じでいてください。
証明は重要ですがまずは使い慣れて覚えてください。覚え方のポイント
加法定理と定理と名前がついてますので、証明ができます。証明はもちろん大事ですが、まずは使い慣れていくほうが良いと思います。
十分使い慣れて、なじみ深くなったら証明を読んでみてください。
最初は見ながら使っていくのが良いと思いますが、覚え方の例としましては、4つも等式があって大変そうですが、規則性がありまして
[1][2]のサインは
サイン・コサイン コサイン・サインのパーツであります。
語呂合わせで覚えて構いません。(有名な語呂もいくつかありますね)
真ん中のプラスマイナスは [1]のx+yならプラス [2]のx-yならマイナスとそのままです。
[3][4]のコサインのほうは
コサイン・コサイン サイン・サインのパーツで
真ん中のプラスマイナスは[3]のx+yだとマイナス [4]のx-yだとプラスと逆になるという特徴があります。
最初は式を見ながらでいいですから使っていっていただいて、その都度特徴をとらえていっていただくのが無理なく覚えていくコツだと思います。
加法定理をインプットすると
証明はこの記事ではあえて略しましたが、加法定理を認めて頂ければ
タンジェントの加法定理や、2倍角の公式などいろいろな公式が
導けますので、まずは加法定理を身につけていっていただきたいです。
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